ホッと空の物語71‐世界の料理‐西洋

 外国を旅する楽しみは、景色、街、人物、歴史建造物と共に、食事である。移動中や街中で多少いやなことがあっても美味しい物にありつけると「いい国だなー」と思うことができる。美味しいという感覚は単に舌の味覚だけではなく、衛生、食材の安全、生活の安全、気楽さと良い緊張感、妥当な代価など多くの要素が満たされて成り立つ。1985年から20年間、世界で実にさまざまな国、食材の料理を味わった。最近は次第に各国の個性が薄くなっているが、それ以前の記憶である。
料理は食材で考えると面白い。肉の食文化で色分けすると、魚、とり、豚、牛、羊に分けられる。穀物では麦、米、トウモロコシ、いも で分類できる。各国がどの色が強いかを考えて見るのもよい。

フランス   
フランス料理は世界三大料理の一つと言われるだけに美味しい。その偉大さは単に味だけではなく、どの街、どのレストランでもコストパフォーマンスが明確で、レベルが高いことだと思う。何故、フランス料理が美味しいか、フランスの友人に聞いたことがある。答えはフランス革命のおかげらしい。美味しい料理は王侯貴族の食事から生まれるもので庶民からではないと。革命で職を失った料理人がレストランや料理教室を開いたのであると言う。多分そうであろう。この話の派生として、欧州中に中華レストランがあるが、最も美味しくレベルの高いのがロンドンである。これは清朝崩壊後その宮廷料理人が逃れたからで、パリの中華はさほどでもないのは、一次大戦やその後に海外に出た料理人であって、宮廷料理人ではないからだと言われている。その話は別として、フランス滞在中に、美味しくないと感じたフランス料理は数回のみである。
フランスレストランのよいところは食事を頼むとパンは食べ放題であることである。どんどん黙って追加してくれる。長期滞在中、胃が重い時は昼食にサラダ ニソア(シーザーサラダ)と言う、野菜にツナ肉やゆで卵、チーズを振りかけたサラダを食べた。安いしパンは自由であるから申し分ない。ただし水道水以外の飲み物は有料である。水道水は飲めるが止めた方が良い。衛生面の問題ではなく、あまりにも硬水なのでお腹をこわしてしまう。コーラー、セブンアップなどのアメリカ飲料は安心できるのでうれしい。コカコーラよりもペプシコーラの方が良く普及していた。
ミネラルウオーターは、日本では硬水の分類になっているが、欧州では、水道水よりは軟水である。エビアン、ビッテル、ボルビックが普及している。ボルビックは子供用に使うことが多いらしい。水には炭酸ガスの有無でサンガス(ガスなし)、ガズーズ(ガス入り)があり、ガスの量も色々である。一番少ないのがバドワーで多いのがペリエとなる。日本人にはなかなかなじめないが私はバドワーが好きである。ステーキ屋でアントルコット(牛ステーキのこと)とフリッツを食べながらこれを飲むととても美味しい。何故ガスが入っているかと言うことであるが、もちろん味の好みもあるが、水が新鮮だという証しである。全てのビン入り飲み物は目の前で栓を開けさせるのが安全保証上鉄則である。
随分と美味しい思い出が多い。リール駅前のペリカンドールと言う店、パリシャンゼリーゼにある有名なフーケ、サンラザール駅近くのこれも高名な海鮮レストラン ガルニエなどである。お気に入りは、FCB社の賓客用レストランであった。リヨンのトワマリエ(三姉妹)で食べた生フォアグラのステーキは忘れられない。そのほかホテルリッツ、セーヌ川沿いにある川魚店やブイグ社のTBM部長であったロンシャン氏に招待されたシャンゼリーゼに面した建物の六階での社用VIP食堂などは貴重な思い出である。またパリ北駅近くのムール貝専門店のムールムニエとフリッツ(フライドポテト)の味も忘れがたいものがある。そのほか食事、食材としては牛、豚、鶏はもちろんであるが、鳩、鹿、兎、カタツムリ、蛙などのほかワニ、駱駝なども食した。これ等の味は牛、豚、鶏、魚を組み合わせた感じのものである。
長期滞在のフランスでも、思い出深いのは、個人的に家庭料理に招かれたことである。
英仏海峡TBMの電気制御機器はフランスのアルストムと言う巨大企業に頼んでいた。その主たる作業拠点はリールの南にあるアラスと言う町にあった。そのアルストム社の設計課長の自宅に招待された。40歳前後の夫妻で一人娘がいた。奥さんは小学校で英語の先生をしていた。奥さんの手料理を馳走になったわけであるが、なかなかの本格的なフランス料理である。これは美味しい、旦那は幸せですねと言うと、今回は特別だと。日本から大事な方が来るので、学校を休んで料理のソース作りをしたと言う。時間をかけたからと言ってこのレベルの料理は簡単ではないと感心した。お礼に子供にと持ってきたアイウエオをカタカナ、ひらがなで書いた「下敷き」を渡し、カタカナ、ひらがな、漢字など日本文字の構成、文法の仕組み等を説明すると、とても興味を示し喜んでくれた。

イタリア
イタリアもフランスに劣らずどこでも美味しい。私は個人的な見解としてはイタリア料理の方が好きである。フランス料理にはないスパッゲティ、パスタ、ピザがあるので馴染み易い。どちらもシンプルな形のものが美味いと思う。スパゲッティ・ナポリターナやピッザ・シシリアンがよい。また日本人にはイカ(カラマル)のリング揚げがあるのはうれしい。最も気に入ったのがモッツァレラチーズである。パルマハムと一緒に食べると最高である。私はブラックベリーやアプリコット(杏:アンズ)のジャムをつけてほおばるのが好きである。トンカツを薄く大きくしたミラノカツレツも良い。
一番の思い出は最初に訪問したナポリでの思い出である。1986年である。
ナポリのシールドの現場に行った。当日はともかく暑い日で喉がカラカラになり、唇が異常に乾いた。熱中症の一歩手前だったと思う。昼食は現場の食堂で、飲み物としてワインが出たが、水が飲みたく正直困った。しかしポテトと一緒に出てきた、作りたてのソフトボール大のチーズは汁気たっぷりでモチッとして極めて美味しかった。その後出会ったことが無い。モッツアレラチーズと言うのだと随分後で知った。この夜は、現場の所長さんに、せっかく来たからと、ナポリ魚港の岸壁に掘った古いレストランに招待された。様々な魚、イカ、貝などをごった煮にしたもので、魚はぶつ切りである。見た目でなんじゃこれはと思ったが、これが美味い。後で知ったがブイヤベースの源になったと言う有名料理だった。
フランス料理との大きな違いは、トマトソースを多く使うこと、バターではなくオリーブオイルを使うこと、マスタードはあまり使わないこと、チーズを掛けてオーブンで焼くか、そのまま食べるメニューが多いこと等である。
ワインはフランスと双璧であって、フランスが長かったので馴染みがあるが、イタリアワイン、特に赤は太陽の恵みを受けて色、味共に強くしっかりしている。フランスではボルドー、ブルゴーニュが有名であるが、イタリアではフイレンツエを州都とするトスカーナ地方のワインが有名である。
欧州大陸で、ワイン、ハム、ソウセージ、チーズの話はあまりしないほうが良い。どの国も自信があって、決して譲らないのでいつまでたっても議論が終わらないばかりか険悪になってくる。特にイタリアとスペインのハム、ワインの競い合い、イタリアとフランスのワイン、チーズの競い合いは凄いものである。

イギリス
イギリスでの滞在日数はフランスに次いで長いが、食事に関してはあまり良い思い出はない。よくEnglish Breakfastとして朝食が良いと言うが、取り立てて誇るほどではない。確にフランスはコーヒーとクロワッサンだけが普通なのに対し卵、ハムなどが付く。しかし、これはドイツや他の欧州諸国も同じでアメリカ、アジアはもっと豪勢になる。
一応、有名な料理としてはローストビーフがある。ロンドンではシンプソンズという老舗の店が、にぎわっているが、値段ほど美味しいとは感じなかった。この国は革命がなかったので、宮廷料理人が街に出なかったからと言われるが、そうではないと思っている。元々、味が分からない味盲ではないかと感じている。
もうひとつのイギリス発の料理にフイッシュ&チップスがある。主としてタラのテンプラとポテトである。これはまあ美味しい。しかし正直シンガポール、香港で食べた方が美味しかった。
一度だけ、美味しいと思ったことがある。一度だけである。CTRLの時代、列車の都合でシェフィールドからロンドンまでタクシーで移動した。特急列車で3時間の距離で、昼飯を出すからと言って、列車代にわずかの追加で行くことになった。中間地点で昼時になったので、ドライバーにお任せで高速道路から外れた小さな町の一軒しかないレストランに入った。地産地消とか、近くの畑で取れた豆とか葉野菜を煮たり、サラダにしていた。ロースト物があると言う。ビーフよりポークかチキンがお勧めというので、ポークにした。美味であった。野菜類も新鮮でドレッシングも自家製らしくスムーズなテイストであった。驚いた。
イギリスでも美味しい食事を提供するところがある。一つはメンバー制のゴルフ場である。これは上流階級のクラブであるので上質である。二つ目は弁護士などの上流階層のレストランである。CTRLの時、契約した弁護士に連れられて昼食に行った。何もなさそうなビルの地下に見栄えも味もびっくりするようなレストランがある。三つ目は高級ホテルであるがいわゆるサ―の人々が利用する会食室がある。BTSの講演のあと誘われたが、全く異なる形式のビュッフェスライルであった。
また街中ではPUBがたくさんあって、ビールを飲みながら食事も出来る。Fish & Poteto やライスカレーは悪くない。日本のカレーはインドカレーがイギリス海軍を通して伝わったらしいが、なじみの味である。
結局間違いなく美味しく食べられるのは中華である。ロンドンのソーホー辺りの中華店は安くて絶品である。次はインド料理である。これも本格的で間違いない。
イギリスはウイスキーの国と思いがちであるが、実はビール党である。ギネスが有名である。ウイスキーは名前の通りスコッチ(イングランド島の北半分)のものである。
紅茶は素晴しい。ロンドンの中心の一つであるピカデリー広場近くに フォートナム メイソンという店がある。さまざまな紅茶があって、ここで買うと香り高い紅茶を得られる。

その他の西洋諸国
ドイツ、特にライン川以東、ポーランド、オーストリアなどでは思いだすような食事は無い。ただ生野菜が無いというだけが記憶にある。
北欧でも同様な記憶である。バイキング形式が多いので悪くは無いのと、フランスやイタリア系料理も多いので問題は無い。ただし付加価値税も高く何もかも高額である。タバコは日本で200円の頃900円はしていた。
スペイン・ポルトガルなどのイベリア半島は傾向としてはイタリア料理に近い。もう少し米食、魚貝食に近くなるので、日本人にはなじみが良い。

アメリカ
ともかくこの国は量が凄い。浪費とも思える。水に関しては別項で述べるが、食事にしても同じである。とても食べきれないような量が出てくる。もっとも味は悪くない。材料はどれも新鮮なもので、特に農作物は安心できる。シアトル、サンフランシスコなどでは海鮮料理が盛んである。
アサリの身をホワイトソースで煮込んだクラムチャウダーが好きである。機会があれば毎日、毎回でも食べることにしている。実はチャウダーにはホワイト以外にレッドチャウダーと言うトマトベースのものがあって、こちらのほうが味は強い。
牛ステーキは思った以上に美味しい。神戸牛のような霜降りではないが、歯ごたえのしっかりした赤身で如何にも肉を食べたと言う感じになる。ただし硬いわけではない。メニューはオンス(約28グラム)6,8,12とある。12オンスは1ポンドで450gである。16オンスやダブルポンド ステーキもある。1ポンド ステーキは大きそうであるが案外食べきれる。付き合わせはポテトやほうれん草、豆類であるがどれも美味しく、特にマッシュポテトはお勧めである。ソースも各種有って面白い。
マクドナルドの本家で、多数の専門店があり、また普通のレストランにも各種バーガー料理があってどこでも、どれでも美味しい。夕食にも夕食用のバーガーがあるので、迷うならバーガーとコーラにしておくと間違いはない。

ブラジル
 ブラジルはポルトガルの植民地であった他民族国家で、農作物の宝庫である新大陸に位置していて食材は豊富である。特に豆や芋類が豊富で、始めて目にする珍しいものがある。料理の基本は煮るか、潰してペーストにする方法で簡単素朴である。味付けも塩だけが多い。ただしパンは英仏独式を始め多くの種類があり、原料も小麦、大麦、ライ麦、米、芋などさまざまで実に美味しい。チーズも同じである。
 肉料理は圧巻である。野菜類のバイキングを注文すれば、肉料理が付いてくる。ありとあらゆる種類が出てくる。シュラスコと言って大きな串焼きで持ってきて、目の前で切り分ける。鳥、豚、ハム、ソーセージなどが様々な焼き方、味付けででてくる。最後に牛肉が出てくるが、よくよく配分を考えて食べないと、牛肉にたどり着く前に満腹になってしまう。

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