ホッと空の物語39‐海峡のモグラ‐さすがの日本製造

1987年7月25日にT2,3の契約サインが行われ、29日に帰国。31日に社内のキックオフミーティング(スタート会議)が行われた。営業、設計、調達、品質管理、電装など関係部門が集まって、案件の説明、工程、契約内容などを説明して全員のベクトルを合わせる会議である。ただ受注に出発した時の事業部長は「しっかりやって受注して来い。後は引き受ける」と励ましてくれたが、帰国してみると交代しており歓迎ムードではなかった。あまりにも途方もない事をしてくれたと言う事だろう。
ともかく、従来機と比較しても13ヶ月は異例の短納期である。初めての仕様が多く、また欧州調達をしなければならない部品が多い。議論をしている時間はなく、社内はエンジン全開で動き出した。自部門の設計人数は不足していたので、他部門から応援が来た。

製作は二機の内、T2は日本国内工場で製作、組み立てを行うことになり、T3は胴体主要部を播磨工場で製作、FCBに送って、残りはFCBリール工場で製作し、組み立てることになった。MCSは二機とも日本で製作となった。後続設備は二機分ともに台車はFCBで製作、主要機器は欧州で調達することに決った。
そして製作工程の結果は次の様になっている。
1987年7月24日:    契約サイン
1988年4月12日:    T3用本体ダンケルクへ出航(契約後8ヶ月弱)
5月24,25日 T2工場完成検査(契約後10ヶ月)
6月21日    T2サンガットへ出航
6月        T3ダンケルクで組み立て開始
8月        T2サンガットで組み立て開始
11月10日     T3ダンケルク工場検査
12月5日      T2 5リング組立完成、発進式開催(ヨーロッパ号と命名)
1989年3月28日     T3 5リング組立完成、発進式開催(カトリーヌ号と命名)

一方。受注条件であったMCSの試験は大幅に遅れたが、9月に入ってようやく開始された。種々の問題は生じたが試験は軌道に乗り、12気圧達成の目途も見えてきた。
この実験と同時に他の実験も同時平行で行われた。テールシールの耐圧試験、同緊急シールの作動・耐圧試験、カッタチャンバー内の閉塞防止試験、スライドヘッドのシール試験等である。またスライドヘッドの磨耗を低減するため高硬度のニッケル・クロム・モリブデン鋼を摺動部に溶接肉盛する試験も行った。これらの結果もふまえながらTBM本体の設計、製作は軌道に乗っていった。

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