ホッと空の物語52‐海峡のモグラ-不朽のモニュメント

T2ヨーロッパ号の20.009Kmの5月24日到着に続きT3カトリーヌ号も、1991年6月28日に18.857Kmを掘削して完了した。平均月進はT2が664m、T3が685mで契約の530mをはるかに超えるものである。ちなみに従来の実績では150m~200mである。月進最高はT3の1178mで世界最高記録である。
カッタヘッドが回転した掘削時間はT2で約15,000時間、セグメント数量は12,439リング、74,634ピースになる。総作業延日数は900日である。カッタヘッド破損以外にも様々なトラブルはあったが、メインベアリングの破損のような破局的な問題は起こらなかった。9日間27シフトに三回のメンテナンスシフトを設け、事故予防を行った結果である。
7月にT2の掘削工事終了式典が盛大に催された。近くの公共施設を借りて、多数の地元住民も招かれ、バイキングの料理が振舞われ生バンドでのダンスパーティを行い、そして我々は日本式に一合枡を配り、樽の日本酒を開栓して振舞った。この趣向は非常に好評で、私はシェフ・ド・トンネリエとしてその枡にサインをせがまれ、写真撮影など大忙しであった。サインは漢字も併記して欲しいと言われたのには少々驚き、嬉しくもあった。
ようやくここにきて、ライフワークが終ったと言う安堵感と共に、これまで様々な掘削機の開発に奮闘してきたのはこの日のためであったのだと、感慨深かった。
その後軌道敷設工事、内装工事が行われて、1994年5月6日にユーロトンネルとして開通日を迎え、ユーロスターの運行が始まった。T2のカッタヘッドはトンネル内で切断分割して持ち出され、再度接合されて、ターミナル内に設置されている。ユーロスターからモニュメントを見るのは一瞬で通過するので難しいが、車であればよく見える。
これでイングランドは欧州と連絡され、列車でどこにでも行けるようになった。その後もTGVの高速鉄道網は整備が続けられている。

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