ホッと空の物語38‐海峡のモグラ-真相は?

オーレ事務所で作業をしていると、霧が晴れる用に、これまでの流れが想像できた。

施工者グループは泥水派のCTGと土圧派のTMCが受注を争い、TMCが勝利して機種は土圧式になった。必要な密閉技術は小杉が提供した。そしてT1からT5までの全機がロビンスになっていた。製作は仏国内で製造するという政策に沿って北フランスのソムデラトル社で行うことになった。問題は何も無かった。ところが直後に製造担当のソムデラトル社が倒産した。全5機の製造は困難になってしまった。T1はすでに製作に入っていたので、シアトル(ポートランド)に移して製造を継続することにした。その他は振り出しに戻った。
最良の方法はFCBにソムデラトルの代役を務めてもらうことである。これをFCBに打診したが、KHIと提携関係にあり、下請けだけならしない、と拒否された。しかしフランスでこれほどの物量の製造をして、納期を守れるのはFCBだけである。集中を避けるため陸の4,5は地質も易しく施工距離も短いので分離しても良いが海峡下のT2,3は超長距離であり、ロビンスの技術は必須である。 しかもこれが本命機である。
そこでR.Sato を通じてKHIに働きかけた。共同受注もやむなしと考えた。しかし小杉を外せといわれて困惑した。ただKHIのMCSはアイデア段階であるが、T1の短SCと同じ考えで、ブルーチョーク層での高速施工が可能である。海峡下ではW/SCよりリスクの少ないシステムである。フィルマンも気に入っている。耐圧性能は試験で確認すれば良い。そこで長年の盟友小杉との関係をご破算にしてもディックはKHI・FCBとの三社コンソーシアムの道を選んだ。ユーロトンネルTの栄誉は何物にも代え難い。
このプロジェクトは英仏両国のものとは言え資金は各国の民間である。日本銀行団の比率は非常に大きい。日本のメーカーが参加することはむしろ望ましい。しかし三社コンソの価格が元契約より高価で納期も長く、ここで行き詰まった。ただ融資の最終決定までには時間は有った。
価格を下げ、納期を短縮するため、1台ずつ分ける案、全てDHIに出す案、元契約に戻す案、はては泥水に戻す案などが噴出した(させた?)。これは効果的な揺さぶりになった。この様な動きの中でFCBは脱落し、ロビンスも離脱を見せた。しかしKHIの単独でもやるとの意志は硬く、信頼できるとして実質的契約社として納期・価格を指名した。密閉技術は問題ないし、長距離技術はロビンスが指導すれば良い。
  こうしてTMCは予定の納期、価格を確保でき、ロビンスは受注名声と実利を確保したうえ負荷からの離脱に成功し、T1に専念できる。 FCBは下請けだがエンジニアリングも含む十分な仕事を得た。KHIは単独責任となったが、FCBに技術供与したのはこの日のためである。ロビンスの支援は心強いし、単独のほうが遂行は容易である。何より世界的モニュメンタルな事業の栄誉と今後の業績拡大の期待が大きい。
 その後、T4,5の正式発表があり、ようやく英仏側ともに、全てのTBMメーカーが決定した。英国には有力なメーカーが存在したので日本勢は行かなかった。

画像


画像

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

ユウタ
2019年07月23日 21:16
偶然の事件を味方に生かすのも、運命的だね

この記事へのトラックバック