ホッと空の物語36‐海峡のモグラ-最後の苦闘

7月10日から、不眠不休の苦闘の日々が始まった。午前はオーレ事務所で書類の準備、午後はソファーで仮眠、夕方からTMCと協議そして夜遅く終了と言う日々が続いた。
TMCとDHIが夕方まで交渉していたので、我々は隠れるように夕方こっそりとTMCの門をくぐった。午後5時頃から出かけ、10時、11時過ぎまでミーティング。それから食事に行く。オーレがしばしばシャンゼリーゼのフーケに連れて行ってくれた。このレストランは観光客にも有名であるが、観光客は通りに面した場所で喫茶、食事をする。地元や馴染み客は一階の奥である。しかし我々は二階の奥で食事をした。通常は入れない場所である。贅沢な話であるが、毎日の疲れが溜まってきて食欲がなくなってくる。そんな中で驚いたのはロビンスの弁護士のデュプレ氏である。70才を過ぎていたと思うが、「近藤、食べないと戦えないぞ」と毎日、牛ステーキを食べるのである。私はせいぜいサーモンのグリルであった。しかし、ここのクラムキャラメル(プリン)は大好きであった。ただ食事時間が二時間はかかる、これは正直苦痛であった。
ホテルに帰ると、午前様で、それからTMCの宿題をする。電気、油圧、制御、機械、あらゆる項目について詳細仕様が求められる。答えは書けるが英語が不自由で思うに行かず、いつも徹夜になる。 朝オーレ事務所に行き、ディックが英語を直し、あるいは新しい文章を作って私が、コメント、数字を入れていく。それをマダムオーレが英文と仏文にタイプアップする。この作業は驚くべき速度である。仮眠後、夕方にそれを持ってTMCに行き、また同じことが繰り返される。
この交渉の中で、MCSの名称をどうするか議論があった。MCS(multi control screw)は英語であるし意味が分かりにくいので通称名を「コンドウ スクリュー:Bis De Kondo」にすることになった。この時点では実験計画しかなかった未知の技術をフランス人はよく採用に踏み切ったと感心するばかりである。フランス合理主義の面目躍如かな?
仕様書作成の中で最後に困ったのは、TBMの後方の設備であった。実はこの時点でも後続設備については概略の搭載機器のリストがあるだけで、他は何もなかった。図面がないので、契約書が完成しない。どうしようかと悩んでいる時、ゴルティエ氏が、この図面を使いなさいと言って出してきた。設備の全長は200m以上ある。しかも知らない機器がたくさん搭載されている。コストが心配になったがいまさら仕方ないのでそのまま添付した。恐ろしさを感じたが、書類がそろったので、全員が安堵したのも事実である。考えて見れば、TBMそのものも、スライドヘッド、大容量駆動ユニット、高圧マンロック、真空エレクター、MCS等、初品が多く、後続設備にもセグメントピックアップ装置、上部搬送装置、ストック装置、モルタル受け取り装置、連続排土コンベア装置、排水装置、レストルーム、工作所など初めての設備が多く設計・調達の目途さえなかったのが実態であった。
大丈夫か??
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